言いたいことなんてない

いちばん近くにいる人に大丈夫だよって言ってもらいたいだけなのにその確認作業で余計な傷をつくっちゃって要らないことしたな用意しておいた絆創膏はもうなくなってしまったのか。そういえば大人になるにつれて予備が増えた。見えない先に何があってもいいように、何もなくても何かあった気になって。下に落ちてる石ころにつまづかないように必死すぎた必死すぎた。何も見えないと思って顔をあげても何も見えなかった夜になってたの、気がつかなかった。
下を向いてても避けきれなかった石ころの代償に沢山のものを見失った。いっそのこと転べばよかった。転んだらいやでも顔を上げるのに。予備を蓄えて勇気を捨てて、それじゃあまったくのマイナスじゃないか。
いちばん近くにいる人ってだれ?大丈夫だよってだれに言ってもらいたかったんだ。よくわかんないねわかんないよ最初から。わかりきってるいちばん近くにいる“君”が大丈夫だよって言えたらそれでいいのに。思い出したならすることは決まっているでしょう。